は し が き

 平成23年3月11日に起こった東日本大震災から1年あまりが経過した。
津波被害を受けた沿岸地域、家屋の倒壊にみまわれた地域、そして、原発事故により
立入ができない地域、それぞれ復旧・復興への歩みをはじめとはいえ、その道のりは
まだ遠い。特に、原発事故は原発周辺地域だけでなく、広く大きな社会不安をもたら
し、人々の暮らしの基本である食の安心・安全をも大きく脅かした。
 この脅威に対して、我が国は長期に渡って向き合わなければならない。
そこでは、食の安心・安全を確保するために、放射能汚染の実態を正確かつ迅速に明
らかにする専門人材が必要である。本事業は、本校がもつ環境科学・分析科学等の分
野における人材育成実績も活用し、特に福島県において活躍できる、食の安心・安全
の視点を持った放射能汚染の専門的な分析技術者を育成するものである。
 本事業で開発した教育プログラムでは、まず、食の安心・安全のマインドを身につ
け、次に、放射線工学の知識と基本的な放射線測定の技術を身につける工夫をした。
同時にまた、東日本大震災に起因した原発事故、震災被災地の環境に関する知識を身
につけるプログラムを開発した。このようなマインドや知識の上に、環境科学・分析
科学の技術を実習によって体得するプログラムとすることで、食の安心・安全に配慮
できる放射線技術者を育成する端緒を切り開くことができた。
 開発した教育プログラムは、本事業の中で実証講座として実施し、その効果を検証
した。実証講座は福島県二本松市において実施し、食の安心・安全を意識した放射能
測定技術の基礎を養えるものであることを検証した。
 本事業の成果などをキッカケにして、我が国の放射能測定に対する正しい技術が広
まり、その結果、震災復旧・復興の一助となれば幸いである。

平成24年3月
学校法人東京生命科学学園 東京バイオテクノロジー専門学校
「食の安心・安全の視点から放射能汚染分析を行える技術人材の育成」事業推進協議会